「君へ」 ~一冊から始まる物語~
次の日、唯都はまだ目を覚していなかったがもう命に別状はないとお墨付きしてもらったので、私は4日ぶりに学校に登校した。
いつもよりかなり早めに行くと、衿基会長、莉樹君、海麗さん、陵秦先輩、夛成来先輩、そして晴がいた。
「玲波ちゃん」
「玲波ちゃん」
「玲波先輩」
「玲波ちゃん」
「小崎さん」
「玲ちゃん」
みんなで私のことを出迎えてくれた。
「おはよう。」
そう言って私は靴を履き替え、歩き始めた。
気を使って唯都のことを出さなかったみんなに私は少し寂しさを感じた。
教室に入ってもクラスメイトがひそひそ話すぐらいで直接話しかけてくれる人はもちろんいなかった。
私の新しい制服だけがクラスで浮いていた。
私はあるはずがないのに、旧図書室に向かった。
しかしそこにはあった。
恐らく事件の日に春稀が書いたものなんだろう。すれ違ったとき、唯都が背を向けていたのは旧図書室だった。
私はホコリが舞うことなんて気にしず、全力疾走した。
息が乱れることなく、辿り着いた。