「君へ」 ~一冊から始まる物語~
「海麗さん嫌でしょこんな男ばかりで。」
「いや飽きなくてとても楽しくやらさせて貰っています。」
海麗さんはとても正直に答えていた。
でもほんの少し困っていたようにも思えた。
「さて、そろそろ僕たちはおいとまさせて貰いましょう。」
そう言って衿基会長が席を立った。
「ありがとな。春葵。」
「いえ。」
私たちは初めて衿基会長が名前呼びされているのをきいた。
少し意外な響きだった。