「君へ」 ~一冊から始まる物語~
私たちは明くる日も明くる日も唯都の病室に通った。
家より病室で過ごす方が多いんじゃないかというぐらいに。
もう大丈夫と、わかっていても不安な私がいた。
『俺のことは気にしないで幸せになってほしい。』
毎日のように唯都のフレーズが頭を駆け巡った。
やっぱり私たちは結ばれてはいけない運命なんだろうか。
私が幸せに近づこうとしたから唯都が不幸になってしまったのか。
運命とはなんて残酷なんだろうか。
「神様、私はもう幸せを願いません。代りに唯都にありったけの幸せを下さい。」
私は空に輝く無数の星たちに祈った。