「君へ」 ~一冊から始まる物語~
そんな私をふわりと、暖かいものが包んだ。
「青兄は最後にお前に生きて欲しいと言っていた。
だからもう死ぬとか考えるな!」
私は暗闇の中で聞こえた声はやっぱりお兄ちゃんの声だったんだと確信した。
お兄ちゃんは自分と引き換えに私を生かしてくれたんだと思った。
2度もお兄ちゃんに助けられたんだ。
そう思ったら涙か止まらなくなった。
唯都が抱きしめてくれている。そう分かったのは、優しい唯都の音が体に染み渡ってからだった。
「大丈夫。俺達がついてる。」
体がガチガチに震えている私を、唯都はまるで小さい子をあやすように背中をポンポンたたいてくれた。
「ガマンしなくてもいいんだ。」
唯都の背後から都兄も優しい声で言ってくれた。
「うっ......うっ...」