「君へ」 ~一冊から始まる物語~
「ずっと待っててくれていたの?」
「あぁ。」
そう言って唯都はぎこちなくも1歩1歩、時々傷口を痛そうにしながらもしっかり歩いて私の所にきた。
「知ってるみたいだけど俺が春稀だ。」
「うん。そうだと思ってた。」
「ごめん今まで隠してて。」
「私の為だったんでしょ?」
私たちは謝罪と許しを繰り返した。
「俺は玲波に伝えたいことがある。」
そう言われて私も考えた。
お兄ちゃん。やっぱり私も幸せになってもいいですか。