「君へ」 ~一冊から始まる物語~
私たちが書いた想いはまだ残っていた。
目の前に座っていた唯都は急に立ち上がり、私の前に立った。
そしてひざまずき、私の左手を取った。
「俺に玲波を幸せにさせて下さい。」
唯都頭を下げた。
「私に唯都を幸せにさせて下さい。」
私がこう言うと唯都は私の左薬指に赤いリボンを結んだ。
「今はこれぐらいしか無いけど、いつかは本物を玲波の指にはめてやる。」
私たちは始まりのこの場所で2人の体温を分かちあった。