「君へ」 ~一冊から始まる物語~
「晴」
「なに莉樹?」
それから少し経って私たちは恋人になった。
「玲波ちゃんは今日も...」
最近玲ちゃんは元気がなく、サボりのお時間も増えた。
「唯都君が怪我してからだいぶ経つのにまだ目覚めないんだって。」
「なにしてんだよ唯都。玲波ちゃんを悲しまて。」
私たちはお互いに失恋をしているが、妬んではいなかった。
もう大事な人が隣にいるからだ。
「ねえ、莉樹。私が2度と目が覚めないって分かってもそれでも私を好きでいてくれる?」
「なに当たり前のことを言ってるんだ。俺はこの先晴以外愛さない。例え晴がこの世の人じゃなくても俺はお前だけを愛し続けるから。」
「私もだよ。」
そう言って私たちはお互いの存在を確かめる様に深く口づけをした。