「君へ」 ~一冊から始まる物語~
そんななか私たちは今日結婚式を上げる。
もう籍は入れてあり、同棲もしているが明日から本物の夫婦になる気がする。
私は純白のドレスに袖を通した。
「玲ちゃんすごく綺麗。」
「玲波さん。お似合いです。」
「すごく綺麗だよ。」
「おめでとーーー玲波ちゃん!」
「晴といい勝負だ。」
「唯都に幸せにしてもらえよ。」
みんな私たちの結婚式を祝うために忙しい中駆けつけてくれた。
都兄はずっと無言だった。複雑な気持ちもあるのだろうと思った。
「そろそろ始まります。」
そんなスタッフさんの声がかかり、みんな式場に戻っていった。
都兄だけ少し残った。
「俺はこれからもお前の兄貴だ。関係は一生かわんない。玲波。おめでとう。幸せになれよ。」
そう言って都兄は部屋を出て行った。
私は独りとなってしまった。