「君へ」 ~一冊から始まる物語~
やがて、ぽたぽたと涙が出てきた。
「っ...うっ...」
色んな気持ちが混ざって感情が止められなくなってしまった。
すると、後ろからふわりと包み込まれた。
「泣くなよ。せっかく綺麗なのが台無しだぜ。」
そこには銀色のタキシードに身を包んだ唯都が立っていた。
「かっこいい...」
私はつい思っていたことが口に出てしまい、恥ずかしくなった。
「あんまり可愛いこと言うな。キスできないのが辛い。」
私はもうお化粧をしているのであまり乱暴には出来なかった。
「新郎新婦様お時間です。」
そう言って扉の前に案内された。