「君へ」 ~一冊から始まる物語~
その翌日、家族全員で市役所に養子縁組の書類と引っ越しの手続きをした。
この時わかった事だが、私は既に小澤家とは縁が切れていたらしい...
そして私たちは隣の県に引っ越し、転校もした。
この家のままだったら隣に小澤家があったのでそれは少し苦しかった。
都兄と唯都には申し訳なかったが2人とも
「「大丈夫。」」
と言ってくれた。
その日から私は小崎玲波として、都兄と唯都の妹として、お父さんとお母さんの娘として生きるようになった。
お父さんとお母さんは残り半分ほどとなっていた、私の借金を返済すると言ってくれたが、それは辞退した。
「過去の自分の過ちは自分で拭いたい。」
と固い決意を見せると、
「あまり無理はしないでね。」
と言ってくれた。