「君へ」 ~一冊から始まる物語~
幼なじみ
出会い
「おはよう。」
口の中にジワっと血の味がした時、私にとって神のような人が来た。
「どうした?口から血が出てるぞ。」
「別に...」
少し仏頂面でいわゆるクールと言われている幼なじみで同い年の小崎唯都(ゆいと)は、昔から変わらない。
私への言葉遣い、口調、態度。何も変わっていない。
そんな彼は今、この学校で生徒会副会長として学校をまとめている。
本当は話しかけてくれたことが凄く嬉しい。
もっと話したい。
でもこれじゃあ唯都もやられる。
そう思うと体は勝手に動く。
「おい!どこに行くんだよ!」
「どこだっていいでしょ!ついてこないで」
なんとか罵詈暴言を吐き捨て、その場を去ることができた。
「小崎さん最低!せっかく小崎君が心配してあげたのに!」
そんなクラスメイトの唯都への同情にも耳を傾けず、私は「自分の場所」へと向った。