「君へ」 ~一冊から始まる物語~
唯都と都兄も、私を実の兄妹のように支えてくれた。
そして兄が死んでから全く読んでいなかった本を勧めてくれて、読み聞かせまでしてくれた。
本に関しては、兄が生前、私に遺してくれた大切な思い出なので、都兄が読み聞かせをしてくれると、涙が勝手に溢れてしまい、よく2人に心配かけてしまった。
残りの中学校生活も、唯都のお陰で普通に過ごせたが、同時期に同じ苗字の転校生という事で、少し怪しまれた。
しかしそれは、
「たまたま苗字が同じなだけで俺は家の事情だからあまり聞かないでくれると嬉しいな。そうだよね?小崎さん。」
「うん。私も驚いた。」
という唯都のナイス演技で一応収まった。