「君へ」 ~一冊から始まる物語~
「いや、病院で泣きわめいた時にきいたか。」
唯都はそう言うと、私の方を見て、何かに気づいたようにごめんと謝った。
きっと私が思い出したくなかったことだと思ったんだろう。
「いいよーそんな事もあったね。」
私は気にしないでという代わりに軽く受け流しといた。
『それもふくめると3回か...』
呑気にそんな事を考えていると、都兄から返信がきた。
―――――了解。19時に高校の正門で。―――――
シンプルすぎるメールは送信した人が都兄である事をものがたっていた。
「19時にここの正門だって。」
「わかった。」