「君へ」 ~一冊から始まる物語~
『キーンコーンカーンコーン』
とても長かったように感じた時間はたったの30分だった。
「ヤベっ!弁当!」
「早く食べなよ。」
「玲波は?」
「唯都がくる前に食べた。」
「マジか?!最初から俺と食べる気なかったのかよ!」
「うん。言う機会逃したけど。」
私は長いこと手に持っていた本を片付けにいった。
「じゃあ私先に教室行ってるね。」
「えっ?お、おい!!」
私は旧図書室を出る前に手紙を挟んだ本を見つめた。
「待ってよ玲波。」
「いーやーだー。」
それが私たちの終わりの始まりになるなんて誰が分かっていたのだろうか。