「君へ」 ~一冊から始まる物語~



毎年ここから自転車で2時間ほどかかる公園までは誰も喋らない。

喋ると私が辛い記憶を思い出してしまうかもしれないという、2人の優しさからだった。

でも今年はその優しさを私から破った。


「唯都、都兄。私ね高校卒業したら働こうと思うの。」


私は今日2人に未来の話をしようと決めていた。


「お父さんもお母さんも気にせず大学に行きなさいって言うんだけど、流石にそこまで負担かけられないし。」


「でもそれじゃ、お前の夢が...」


そう小さい頃から私の夢は小さい子が大好きだったので、保育士さんだった。

そして唯都は医者、都兄は救命救急士。

今都兄は立派な救命救急士になるため頑張ってて、

唯都も国立大学の医学部に入ろうと頑張っている。

大学ではお金が沢山かかる事ぐらい私でも知っている。


「いいの私の夢は変わったから。」

「「えっ??」」

「私の夢はね...叶ったら教えてあげる。」

「「......」」


2人は私の爆弾発言に固まっていた。

先に口を開いたのは都兄だった。

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