「君へ」 ~一冊から始まる物語~
「そっか、俺はどんな夢でも応援してるよ。お前の兄貴だからな。」
「ありがとう。」
『お前の兄貴』
4年も兄妹をしているのに未だになれない。
「俺も兄貴として妹の夢は応援してる。」
少し照れたように背中越しに唯都が言った。
『兄貴』
何故だろう。都兄と同じ言葉の筈なのに、あの物語のようなトゲが妙にチクチクする。
この気持ちは......
「ありがとう。都兄、唯兄」
私は「兄貴」と言われたら唯都のことも兄呼びする。
「決して家族を信じていないわけじゃないからね。私の家族は小崎家だけだから。」
私は一生懸命2人に伝えた。
「わかってるよ。でも辛くなったらいつでも頼れよ。」
「うん。」
2人に未来の話が出来て本当によかったと思った。