「君へ」 ~一冊から始まる物語~
「そーいえばさ玲波。」
「なに?」
「俺に学校で冷たすぎね?」
私は少し冷や汗をかいた。なんせ、私が未だにいじめられている事は都兄には言わないでと唯都に言ってある。
だから都兄は最近の私の学校生活のことを知らない。
でももうバレてるかなーとは思う。
もしかしたら私から話してくれるのを待ってるかもしれない。
「しょ、しょうがないじゃん。私たちはたまたま同じ苗字で、たまたま家が近所なだけっていう設定なんだから。」
そうこの設定は私が万が一過去がバレたとき、唯都と都兄を巻き込みたくなくて、わざわざ校長先生の所に行って頼んだものだ。
「だからって冷たすぎるだろ。」
確かに最近は学校で唯都に冷たくしている。
それだけ嫌がらせもエスカレートしているからだ。
「まあまあ玲波にも考えがあるんだよ。」
こういう時の都兄のフォローはとても助かる。
「それよりせっかくのオムライスが冷めちゃうよ。
ほら、食べよ。」
少し天然な所もあるのだが......