「君へ」 ~一冊から始まる物語~


彼女はそんな私の疑いを知るはずもなく、続けた。


「私、こんな性格なのでなかなか今まで友達と呼べる人がいなくて、」


雨宮さんは私とどこか似ているなと思った。


「それで、小崎さんたちと友達になりたいと思ったんです。この前のお2人は私には神のように思えたんです。」


彼女の両手をみると、少し震えている。

きっと私にこれを言うのにかなりの勇気が彼女には必要だろうなと他人ごとのように思った。


「何でこの場所にいるって知ってるの?」


そう言うと、彼女の肩が脅えるように上がった。


「ごめん、ここにいること知ってるのお兄ちゃんしか知らないのになって思って。」


私は唯都のことをお兄ちゃんと呼んで、怒っていないことを表した。

彼女は少し緊張が抜けたのか、柔らかい表情で話してくれた。

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