「君へ」 ~一冊から始まる物語~
兄妹
親友
「入っていいよ。」
「おじゃまします。」
私は初めて人を自分の家にまねいた。
******************数日前***********************
「ねぇ玲ちゃん。」
「何?晴」
「夏休みさお泊まり会しない??」
「えっ?」
その日は一学期の定期テストが返された日だった。
私は授業をサボっているが、唯都のノートや、都兄の教え方が上手いお陰で全教科80点は超えている。
一方晴はというと、授業に出ているのにどうやったらこんな点数が取れるのかと言うぐらい壊滅的だった。
「お泊まり会より勉強しなよ!!」
「だから、勉強合宿だよ!!」
私は晴の言っていることが理解出来なかった。
「小崎君や玲ちゃんに勉強を教えてもらいたいんだよ!」
晴が珍しく剣幕な表情で言っている。
唯都はこの期末テストで全教科95点以上で学年トップだった。
「お願い!玲ちゃん!」
私は晴にお願いには少し弱い。
「わかった家族にきいてみる。」
「ホント?!ありがとう玲ちゃん!!」
という感じでお泊り会は決定事項となってしまった。
申し訳ないと思いながらも唯都と都兄に家でやってもいいかときくと…
『お泊まり会?!お友達?!やりなさい?!俺たちの事は気にしないで!
玲波の部屋布団1組あったよね?あっ、クリーニング出さなきゃ。お友達はご飯何が好きなの?きいといて!掃除も...』
というぐわいに都兄は私よりはりきっていた。
「雨宮か?」
「うん。」
「ならいいぞ。」
と、唯都の許可も貰った。
でもなんか晴ということを聞いて安心した表情を見せた唯都をみたら少し心が痛んだ。