「君へ」 ~一冊から始まる物語~
私は自分の部屋に入って晴の荷物を置いて、ざっとこの家の造りを説明した。
「そっか。小崎君と兄妹って事は小崎先輩とも兄妹なのかー
いいなーあんなイケメン兄2人。」
ある程度落ち着いてから晴が話し出した。
「やっぱり都兄のこと知ってるの?」
私は少し晴の言葉にカチンときたが、顔には表れなかったと思う。
「知ってるも何も、イケメン兄弟で超有名だったじゃん。」
去年は都兄は一緒の高校に通っていたので、私の学年の子が知ってておかしくはなかった。
「家ではあんなんだけどね。」
「いいなー玲ちゃんが羨ましい。」
これ以上喋ってもらちがあかないので、私は晴に正直に話すことを決めた。