「君へ」 ~一冊から始まる物語~
「お父さんが海外に単身赴任でお母さんはその付き添い。もう二年近くになるかな?」
高校の入学式にはいなかったからその位経っていると思う。
今思えば長いなと思う。
「じゃあさ玲ちゃんは小崎君たちのこと、恋愛対象として見てないの?」
晴が急に爆弾を投げてきた。
「な、何言ってるの??な、なるわけないじゃん。」
「そうかな?1つ屋根の下で一緒に暮らしてればなると思うけど...」
晴は不思議そうに言った。
「だったら私が小崎君取っちゃうけどいいの?」
「別にい、いいよ。」
私は全く思ってもないことを言ってしまった。
「ふーん。」
私の心のモヤモヤは広がるいっぽうだった。
そうやって何だかんだ話しているうちに1日目の夜が明けてしまっていた。