「君へ」 ~一冊から始まる物語~
唯都たちの思い
唯都が海に行こうと言い出したのは、晴との合宿からちょうど一週間がたった時だった。
「なぁ玲波。」
「何?」
「海行かね?」
「海??」
私は海なんて行ったことがなかった。
前の家族の時はろくに旅行にも連れて行ってもられなかったし、海なんてもっての他だった。
「いいねー行こう!」
都兄も賛成した。
「でもお金...」
「安心して、母さんたちが送ってくれた。」
そう言って都兄は封筒を見せた。