「君へ」 ~一冊から始まる物語~
私は部屋に着いてから言葉を失った。
そこにあったのは、3組がぴったりくっついて敷かれている布団達だった。
私は今さらながら都兄たちの言っていたことがわかった。
「っ......」
「あー海入ったから体が気持ち悪い。風呂行かね?」
私はいちいち唯都たちの言葉に過剰反応してしまう。
そんな私に気づいたのか、都兄が言った。
「俺達、野宿しようか?」
私は大きく首を横に振った。
「ダメだよ。風邪ひいちゃう。」
いくら真夏とはいえ、沿岸沿いの夜は少しヒンヤリとする。
それに、お金を出してもらってるのはこっちなのに私だけ特別はいやだった。
「じゃあお風呂行こっか。」
そう言って私たちは露天風呂に向かった。
夜はあんな事になるなんて思いもしなかった。