「君へ」 ~一冊から始まる物語~
私は震えている唯都の腕を抱きしめた。
「違うの唯都!聞いて!!」
私は都兄を起こさない程度に叫んだ。
そして唯都の方へ寝返りをした。
「唯都たちのせいなんかじゃない!それに唯都たちがいなかったら、私、今生きているかわからなかった。唯都は私を助けてくれたの!だからお願い!もう自分を責めないで!」
私は全身震えている唯都を抱きしめながら言った。
「私は都兄の、唯都の妹でほんとによかった。」
唯都は私の胸で思いっきり泣いていた。
そんな唯都を私は一晩中抱きしめていた。
唯都の4年間の苦しみを思えば何ともなかった。
「ありがとう。玲波。」
薄れる意識の中、唯都がこう言ったかどうか...
私の妄想かも知れない。
天国のお兄ちゃん。私には守ってくれる、優しいお兄ちゃんが2人もいます。