ばかって言う君が好き。
『企画成功しました!』
彼も休憩中なようで
『おめでとう!頑張ったね!』
すぐにそう送られてきた。
『今日も10時ぐらいまで飲みそうだから、
頑張りました飲みは、明日しよう!』
続けてきた彼のメッセージ。
先輩に「よく頑張った」そう言ってもらえたけど、やっぱり彼に褒められるのが一番うれしい。
『ありがとう』の後、私は文字を続けて打つ。
『いつもなら、家で大人しく待ってるね』
そう送るのだけど、今日は違う。
『それで…渡辺先輩に企画成功のお祝いの飲み会に誘われてて、
ごめん、私も1時間だけ行っていいかな、?』
なぜだか心苦しかった。
いっそのこと、だめって言ってくれたら、楽になるのかも、なんて…。
『倫子も付き合いあるもんね、いってらっしゃい。
気を付けるんだぞ!』
そんな私の気持ちとは裏腹に、彼はすんなり分かりましたの連絡。
渡辺先輩の事、私が思うほど気にしてないのかもしれないな…。
『ありがとう。
直人よりは先に帰るし、お風呂入って待ってるね。』
私は携帯を鞄にしまって仕事に戻ろうとしたのだけれど、
ピンポーンと3度連続して鳴る通知音に、マナーモードにし忘れていることを気づかされて、ついでに彼のメッセージを確認した。
送られてきていたのは、彼が滅多に使わない寂しそうにもじもじとする熊のスタンプ。
続けて、
『ごめん、送り間違えた!』
そうメッセージ。
最後は、いってらっしゃいと手を振る熊のスタンプ。
直人、忙しい合間に連絡くれたのかな、
そう思いながら私は、うさぎがありがとうと発言するスタンプを送ったのだった。