ばかって言う君が好き。
Feb
私は何度も自身の腕をさすりながら、エアコンのスイッチを押した。
さすってさすってさすって……。
でも服の下にできてる鳥肌はひっこまなかった。ぽつぽつぽつぽつできているらしかった。
「はあ。」
部屋の中でも白い息がでる。開けたカーテンから、白い雪がちらちら落ちているのが見えた。
「どうりで寒いわけ…。」
部屋にぽつんと私の声が響いた。
ぴーんと糸が張り詰めたような空気感。冷たい静かな独特な雰囲気。雪が降る日はより強くそう感じる。
エアコンがポンコツなのか、今日が寒すぎるのか、なかなか温まらない部屋。
コーヒーでも飲んで、温まろう…。
そんな私の思いとは逆に、携帯電話が鳴り始める。こんなことまで予定通りいかないものかとため息がこぼれた。
「もしもし。」
私は耳に電話を当てながら、コップを用意した。
「倫子?あたしだけど。」
「お姉ちゃん、どうしたの?」
お正月前に少し電話した程度の姉の声。コーヒーをまだ飲んでいないのに、さっきより寒く感じない。
「じゃーん、お姉ちゃん妊娠した。」
「え!お、おめでとう!」
突然のことに、私の声は一気に大きくなった。
「驚きすぎ。まあまだ3ヶ月なんだけどね。」
私は準備する手をとめて、机の前に座った。
「母さんとかに言ったの?」
「うん、喜んでくれた。
健はちょっと泣きそうになってた。」
あきれがちに苦笑ながらそう言う姉。
あの旦那さんなら泣いてもおかしくないね、私は笑ってそういうと、まあねと姉も笑い返した。