ばかって言う君が好き。
「倫子、ヨーグルト持ってきてくれない?」
「いいよ。」
すっと立ち上がった私は、取りにいくついでにお皿を洗い場に持って行った。冷蔵庫を開けて、ヨーグルトを手に取る。
2段目の……
「直人…。」
「うん、それ持ってきて。」
私はそれをもってテーブルの上にかたんと置いた。
カレーを食べた容器と同じ、白いお皿の上に置かれた、それ―――。
「これ…これ……。」
「作り直した。」
照れくさそうに笑う彼。
ヨーグルトじゃなかった。
私が14日に作ったケーキがそこにあった。
「作ったの?」
「うん。」
「レシピ見て?」
「うん。」
「なんで?」
「なんでって何となくわかるでしょ?」
わかるけど、わかるけど……でも、でも。
「この間はごめん。いっぱい泣かせて、傷つけて。ケーキも…。」
「うん。」
「今日は倫子誕生日だし…
絶対仲直りしたいって思って……。」
「うん。」
「それで、えっとなんていえばいいかな。
玄野とは本当何もないんだけど、
今はごめんちょっと言えないんだ。
だから、ちょっと待ってほしいっていうか、
すごい勝手なんだけど、んーと。」
必死に考えている様子の彼。言葉を選んでいるようで。