ばかって言う君が好き。

「直人とずっと一緒だ。ずっと、ずっと。」

「…だよ。」

「幸せ。生まれてきてよかった。
直人に出会えてよかった。大好き。」
 こぼれるように私の口から直人への思いがあふれた。

「……あんま、そういうこと言われると、困るんだけど。」

「え?」
 彼がぐっと私の肩に腕を回し、私を直人に向き直させられ、

「え、ちょ…」
 彼の太ももに座る形を取られると、私の唇は奪われた。


「ちゅっ。」
 お風呂場にキスの音が響く。

「あっ…。」
 何度も何度も彼は私にキスした。彼が私の頭を手で支え、彼のそれから逃れられない。

「―――ん…っ。」
 舌が絡み取られて、安易に息ができない。
こだまする唇の音が耳から聞こえてくるのも、変な感じで…。

恥ずかしくて、すぐに離れてしまいたい、


それでも……

「!」
 彼が唇を離した。

私の腕は彼を引き寄せるかのように、彼の首に回っていた。

「こら、止まらなくなるでしょ。」
 彼がコツンとおでこをぶつけた。

「……だって。」
 すっとこうしていたかったんだもん。

言葉をごくっと飲み込んだ。

「可愛いなあ。」

「ちゅ。」
 また響いた。

「頭洗ってあげようか。
俺、もう全部洗い終わったし。」

「え、いいよ?」

「お願い、今日みたいに強行突破しないと、
倫子ちゃん一緒にお風呂入ってくれないし…。」
 なんて直人は言ってるけど、私もう今は、毎日でもこうして一緒にお風呂入りたいって思ってるんだけどね。

「……分かった。」
 彼がくしゃっと私の頭を撫でた。


ザブン―――湯船が大きく揺れる。
わしゃわしゃと泡立つシャンプー。もくもくとそれは広がっていった。

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