ばかって言う君が好き。
July
カラン……カラン
歩くたびに鳴る下駄の音。
人ごみの中、待ち合わせ予定の風水の前、待っているはずの彼の姿を探していた。
「もう少しで、はじまるねー」
「たこ焼き食べながら見たいなぁ。」
おしゃべりする隣の人の声がはっきり聞こえる。
やっぱり時間ぎりぎりで待ち合わせるんじゃなかったなぁ、見つからなかったらどうしよう。
「ごめんなさい…通してください。」
体を縮めて人ごみの中をかき分ける。
花飾りでサイドにとめた髪型が、くずれてしまうのではないかと心配だった。
昨日きた彼からの連絡。
風水の―――カエルが大きな口を開けて、水を出しているところ、
あっ。
カランカランカランカラン――――――
「お待たせ。ごめん、ちょっと遅れちゃったね。」
背を向けて立っている彼に声をかけた。
気づいた彼がパッと振りかえる。
「あ、いや、うん、ごめん、もうちょっと早く、待ち合わせたらよかったね。
……ここ来るの大変だったよね?」
いつもより早口……だった気がした。
「うん、私ももうちょっと早く待ち合わせたらよかったなぁって思ってたとこ。
もうそろそろで花火始まるよね、橋まで行こっか。
そっちの方がすいてそう。」
「うん。だね。」