ばかって言う君が好き。

「…あ、直人。」

「ん……?」
 メガネをかけていない彼、何度か見たことはあるけれど、画面を通してでは初めてのことで、ドキドキが増してしまう。

「ごめん、ちょっと忙しくなりそうだから、
連絡遅れるかもしれない。」

「うん、この時期は忙しいもんね、倫子。」
 彼の眉が下がる。

「……ごめんね、お盆は実家に帰れそう?」

「頑張れば。また弟にいじめられなきゃ、兄貴も帰ってくるみたいだし。」
 いつも弟を煙たがる彼だけれど、なんだかんだで嬉しそうな彼を見るとやっぱり可愛い存在みたい。

「あれ?直人、高校生と大学生の弟さんだけじゃなかったの?」

「弟2人と、兄貴1人だよ。言ってるとばかり思ってたわ、倫子はお姉さんいるんだよね?」

「うん、似てないけどね。」
 私は幼い顔なのだが、老け顔の姉は20歳の時に30歳に見られたという経歴を持つ。

「プロポーズされたらしくて、結婚式挙げるんだって、今年。」
 私はふはぁとあくびを漏らす。

「え!そうなんだ……。
俺とお姉さん同い年だよね。」

「うん、そうだね、幸せそうだったよ。」
 そういいながら、私は先日姉が結婚の報告をしてきた電話を思い出し笑ってしまう。

「結婚式、直人も都合よければどうぞだって。」
 お姉ちゃんにも直接会わせたことはないが、直人のことを伝えていた。

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