ばかって言う君が好き。

「えー行きたいなあ。」

「また日程決まったら、早めに教えるね。」

「うん、よろしく。」
 そこで一区切りついて、私達は少し黙る。

次は何話そうかなと考えながら、画面の右上に出ている時計をふと見るともうすでに12時18分と示されていた。

まだ12時を回っていないと思っていた私は、時間の速さに驚きつつも、今が楽しい時であることをそこで改めて確認してしまう。


まだしていたいテレビ電話。

沈黙でも辛くない。
むしろ、この沈黙が心地いい。
ずっとこうして、彼の顔を見ていたい。

でもそんな気持ちとは裏腹に眠気は収まらなくて、もう一度あくびを漏らしてしまう。
彼も少しだけ目がトロン。

「直人、そろそろ寝る?」
 彼の身を案じてそう聞いた私。

「…えー、まだ話そうよ。」
 「そうだね」と言われると思っていたので、少しの驚き。

「ならもうちょっと話そっか。」
 私ならそう返事するはずなのに、

彼の意地悪なところが少し似てきたのか、


「何?寂しいの?」

 なんて……言ってみる。

「倫子にからかわれるなんて。」
 彼のそんな声に思わず笑ってしまう。

「誰かさんのいつものお返し。」
 彼の笑顔を見ながら、どうやら眠気よりも彼への気持ちがまさってしまった様で、

私は彼ともう少し電話を続けるのだった。

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