ばかって言う君が好き。

Jan


『倫子…?忙しいの?』

 大晦日から2週間、私は彼からの連絡に返事することなく放置していた。

彼とのトーク画面を何度か開けたけれど開けるだけで、それ以上私の指は動かない。

『あけましておめでとう』
 そう返事すればいいことなのにそれすら送りたくなかった。

 彼からこれぐらいほっとかれたことはあるけれど、私はせいぜい2、3日ほどしか連絡を放置したことがない。急に私の連絡がこなくなり、彼はさすがに違和感を感じたんじゃないかな。

「はあ。」
 彼から催促が来た以上、返さなきゃ……。
明かりを落とした真っ暗な部屋に、ため息が一つこぼれる。

『ごめん、ちょっと忙しかった。
直人はどう?順調ですか?』
 当たり障りもないことを並べる。すぐに返ってきた返事。

『うん、、でさごめん、17日行くの難しくなっちゃってさ、日改めてもいいかな。
今、電話していい?』

……会うのなんていつぶり?
何も直人言わないから、会う約束してた17日だってもう会わないものだと思ってたし。

日改める?
いつにするって?
結局また会えないっていうのが落ちでしょ?

電話?
私からかけたときは、電話とらなかったくせに?

私の連絡が遅いから、気持ち離れたんじゃないかってあわててこの人連絡してきて、意味わかんない。

すきだったらさ、相手が寂しいのとか会いたいのとか我慢してるの分かったら、その我慢をなるべくしなくて済むよう、努力するのが普通じゃないの?

寂しいって言わなくたって、そう思ってること明白でしょう。
なんで察してくれないの?

私、あなたの気持ちを察して、

今度会う日とか、連絡の頻度とか本当は話し合いたいけど、あなたはしたがらないだろうから、話しないようにして、それでそれで私、わたし――――もう疲れた。

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