ばかって言う君が好き。

 うとうと眠りにつこうかという時間だった。
私は、いつものように目覚ましをかけ、ベッドに入った。

ピンポーン
本日5通目。いや、本日1通目の彼からの連絡だった。

0:00 
『お誕生日おめでとう。
これからもよろしくね。』

17日きっちりの連絡。
近距離でもする人がいないんじゃないかって程の深い愛…。


「なんで今更。もう好きじゃないくせに―――。
あたしだって、もうあなたのこと好きじゃ……」

「っ……」
 肝心の最後が言えない。
言いたくても、嗚咽でかき切れる。

手で涙をおさえておさえておさえて、それでも止まらない。


彼とのトーク画面を開く。
彼がくれた―――文字という形の愛。でも今の私には残酷な愛。

「これからもなんて、期待させるようなこと言わないでよ……。」
 携帯への着信。彼からの電話。
真っ暗な部屋に響く、電話の音と私の嗚咽交じりの声。


言葉通り、あなたを信じたい。
あなたの愛に溺れたい。
あなたのところへ飛び込んでしまいたい。

でももし信じてそれが違ったら?
あなたにもまた、前付き合ってた男性みたく私、悲しいことを言わせてしまうの?

そして、きっと私も立ち直ることができなくなるのでしょう?
だれも信じれなくなってしまうのでしょう?


だから――――なり続ける電話。


直人ごめんなさい。

通話と拒否。画面に並ぶ二文字。


私、あなたを嫌いになる。


「もしもし?」
 大丈夫。

もう準備は整った。

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