君に触れたい……。
曖昧にぼかして俺は話を逸らした。


額にうっすら滲む汗を拭いながら、もう一度空を見遣る。


「にしても暑いなぁ。日差しはそんなに強くないのに気温高すぎんだろ」


「なぁ?」と言って雪を見遣ると、そこには寂しげに微笑む雪の姿があった。


俺は首を傾げて、訊く。


「? 何だよ、雪。お前は暑くないのか?」


そう言うと、雪はやはり寂しげに微笑んだ。
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