君に触れたい……。
気が付けば、俺はそんなことを尋ねていた。


案の定、雪は瞳を丸くしている。


けれどすぐに微笑み、言った。


「少し、ね。けど、鈴君が居てくれるから、寂しくないよ」


"鈴君が陽光の分まで暖めてくれるから"


そう付け加えて、雪は恥ずかしそうにはにかんだ。


俺は雪に触れることが出来る。


けれど、当たった、と言う感覚があるだけで、体温は伝わらない。

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