君に触れたい……。
その後暫くは大した会話もなく、二人並んで池を見た。


夏色に染まった景色は、ほぼ緑一色だ。


深緑の草木は、見ていて落ち着く。


「そうだ、雪。さっきは木に登って何を見ていたんだ?」


ふと思い出してそう尋ねると、雪は嬉しそうに、楽しそうに笑う。


「んとね、浴衣の人が沢山居たの。どうしてだろ?」


雪は頬に指を当て、小首を傾げた。
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