君に触れたい……。
その問いに、俺は少し悩んでから答えた。


「あー、ああ、ある。何で?」


すると渡木は残念そうに眉を垂らして、言った。


「そっか~。いや、今日の午後に友達何人かで集まるからさ。鈴も来るかと思ったんだけど、用事あんなら良いんだ」


「ああ、悪いな」


「全然! また今度な」


そう言って、渡木はニカッ、と八重歯を見せて笑った。
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