君に触れたい……。
悲しげな表情で。


「全部は、まだ……。けど、断片的には……」


それでも、嬉しかった。


「良かったな、雪! ……雪?」


喜ばしいことの、筈だった。


あの日、雪は泣いた。


"……私……いつまで、このままなのかな……?"


雪のこの言葉は、今も鮮明に覚えている。


不安に怯えた雪の表情を、覚えている。
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