君に触れたい……。
訊くと綾崎さんは静かに、微笑んだ。


「お友達、香澄(かすみ)ちゃんって言うんだけど、今はこの病院に入院しているわ。身体は元気なんだけど、雪の状態にショックを受けててね」


「そうでしたか……」


俺は目を伏せて、次いで雪を見遣った。


そこには、必死に涙を堪えている雪の姿があった。


「……鈴君、だったわよね? 貴方と雪は、とても仲が良かったのね」


そう言った綾崎さんに、俺は目を丸くした。
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