君に触れたい……。
「溜め息なんて、吐かないでよ。鈴君」


凛と通った、酷く美しい、声。


その声に、弾けるように振り向いた俺は、思わず息を飲んだ。


「……雪……?」


そこには、会いたかった雪の姿があった。


身体は、透けていない。


「久し振りね、鈴君」


嬉しそうに微笑んだ雪。
< 92 / 110 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop