マルチな彼女に首ったけ!

☆秋川ひとみ side

カレーライス、作りすぎた。
カレーライスは大量に作った方が美味しいので、つい、沢山作る。

美味しいのだけど、冷凍するにはジャガイモが不向きだし、何回も食べると飽きもくる。

食べに来てと、誘おうか。

食べて下さいと、持って行こうか。

そもそも、喜んでくれるだろうか?

迷惑に思われないだろうか?

そんな事を考えていたら、気分が滅入ってきた。

ああ、もう、誘ってしまえ!

メールを作成して、思いきって送った。


さて、サラダでも作ろうか。
携帯電話をテーブルにおいて立ち上がると、着信音が鳴った。

篠原さん?
ずいぶんと速い返信だ。

『お言葉に甘えます!何か、持っていった方が良い物ありますか?何時が都合良いですか?』

時計を見る。
今は夜の7時過ぎだった。

いつでも大丈夫、飲み物はありませんと送ると玄関のインターフォンが鳴って、篠原さんが立っていた。

「ゴメン、速すぎた?」

「どうぞ、入って下さい。」

「お邪魔します。」

彼が背中を屈めて入ってくる。
背が高いから、ぶつからないように気を付けているのかも知れない。


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