マルチな彼女に首ったけ!

☆秋川ひとみside

案の定、彼はインフルエンザだった。
とりあえず病院にも行ったし、薬も服用した。
後は睡眠と、栄養と、水分補給だろう。

自分も一昨年インフルエンザにかかっていた。

だから、どうすれば良いのかは大体わかる。

お昼ご飯、何にしようか。
いつまでもお粥では力が付かないし、もう、ほとんどの物は食べられるだろう。

昼休みの短い時間だから手の込んだ物は作れない。

鍋焼きうどんでも作ろう。

そんな事を考えつつ、仕事を進める。
今日は楽な仕事が多くて助かった。

篠原さん、大人しく寝てるかな。
夜になったら又、熱があがるかな。
あ、洗濯物乾いたかな。
昼に全部着替えてもらって、シーツも替えて………と考えてたら、あっと言う間に昼休みになっていた。



眠っている他人の部屋に入って鍋焼きうどんを作る。

これって、かなり変な事だ。

家族でも無い、恋人でも無い、親しい友達と言うには出会ってから日が浅すぎる気がする。

しかも、私が押し掛けて看病しているのだ。


私って、彼の何なんだろう。

彼って、私の何なんだろう。


私って、彼の事が好きなんだろうか?

彼って、私の事をどう思っているのだろうか?

次々と考えているうちに、うどんが出来上がった。

今は悩んでいる時間は無い。
限られた昼休みだ。
さあ、彼を起こして着替えさせなければ。





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