2度目の初めまして。
2人の時間。
「お邪魔します。……部屋は、綺麗に片付いてるね」
「そんなに物が無いんで。片付けるの自体は苦手です」
「趣味とかないの?」
「……別に」
夏哉と名乗った彼は私の家にあがると失礼と知ってか知らずかキョロキョロと部屋を見回し意見を述べた。
これからこの空間に人が増えるのかと思うとやっぱり受け入れたくなかったが、今更断るのも自分勝手に思えたので、1週間は仕方ないだろうと思っている。
「朝比奈さ……えっと、はるかは、漫画が好きなの?」
「はっ……?」
「え、好きじゃないの?」
私は質問なんて耳に入っていなかった。
いきなり下の名前で呼ばれて、動揺しないわけがない。
目を丸くしたまま突っ立っていると、神崎さんは首をかしげた。
「……好き、ですけど」
「趣味あるじゃん」
神崎さんは嬉しそうににこりと笑って一人用のサイズしかない小さなキッチンに立った。
そして後ろにある電気器具などを見てから、冷蔵庫に注目した。
「冷蔵庫、見せてもらうね」
「何も無いですけど」
ガチャ、と冷蔵庫の扉が開く音がする。
気になってその姿を眺めていると、なんだか変な気持ちになった。
自分の家で、自分しかいないはずの部屋なのに。
人がいる。
冷蔵庫の中身を眺めていて、私は恥ずかしさともやもやでため息をついた。
「……ご飯はどうしてるの?」
「こんな感じです」