【B】きみのとなり
13.オレだけの小悪魔でいてくれ -嵩継-
結婚するまで……入籍するまで、
アイツの両親の手前、抱かないように必死に我慢してきた。
だけど……オレはあの晩、アイツを欲望を満たすために抱いちまった。
抱いたことは後悔してない。
オレにはアイツ以外、抱きたいと思える女はいないだろう。
ったく、つい最近までガキだと思ってたアイツを、
こんなにも本気で愛してんだからな。
けど、このままズルズル本能のままにアイツ抱いて……言いわけねぇよな。
目前に意識する『入籍・結婚』の文字が、オレの中にちらつき始める。
アイツの両親を知る手前、出来ちゃった結婚でアイツをくださいって言うのは、
やっぱりおふくろにもあの世で怒られそうな気がする。
まっ、海斗に至っては、既成事実作っちまえって焚きつけそうだが……。
そんな新しい家族に繋がりそうな未来を想像しながらも、
なかなかすれ違いで切り出せない時間が続いた。
11月の上旬。
再び鷹宮に訪ねてきた時任から連絡が入った。
その日、時任はケアセンターでボランティアを申し込んでいたようで、
その関係で立ち寄った際に、オレを訪ねてきた。
「全部終わったのか?」
親の死の後も慌ただしいのはオレも経験済みだ。
「うん。あの時は有難う。
今日は、父がお世話になったお礼をしたいって思って、
ケアセンターにボランティアの申し込みをしたの」
「そっか……」
「ねぇ、嵩継君。
今度、ここじゃない何処かでゆっくり時間作ってくれない?。
これ私の連絡先。
連絡待ってるから」
そういってメモをオレに握らせると、他のスタッフに呼ばれて時任は慌ててオレの前から姿を消した。