【B】きみのとなり

13.オレだけの小悪魔でいてくれ -嵩継-



結婚するまで……入籍するまで、
アイツの両親の手前、抱かないように必死に我慢してきた。


だけど……オレはあの晩、アイツを欲望を満たすために抱いちまった。


抱いたことは後悔してない。
オレにはアイツ以外、抱きたいと思える女はいないだろう。

ったく、つい最近までガキだと思ってたアイツを、
こんなにも本気で愛してんだからな。



けど、このままズルズル本能のままにアイツ抱いて……言いわけねぇよな。




目前に意識する『入籍・結婚』の文字が、オレの中にちらつき始める。



アイツの両親を知る手前、出来ちゃった結婚でアイツをくださいって言うのは、
やっぱりおふくろにもあの世で怒られそうな気がする。

まっ、海斗に至っては、既成事実作っちまえって焚きつけそうだが……。




そんな新しい家族に繋がりそうな未来を想像しながらも、
なかなかすれ違いで切り出せない時間が続いた。




11月の上旬。
再び鷹宮に訪ねてきた時任から連絡が入った。

その日、時任はケアセンターでボランティアを申し込んでいたようで、
その関係で立ち寄った際に、オレを訪ねてきた。



「全部終わったのか?」



親の死の後も慌ただしいのはオレも経験済みだ。


「うん。あの時は有難う。

 今日は、父がお世話になったお礼をしたいって思って、
 ケアセンターにボランティアの申し込みをしたの」

「そっか……」

「ねぇ、嵩継君。
 今度、ここじゃない何処かでゆっくり時間作ってくれない?。

 これ私の連絡先。
 連絡待ってるから」


そういってメモをオレに握らせると、他のスタッフに呼ばれて時任は慌ててオレの前から姿を消した。


< 101 / 149 >

この作品をシェア

pagetop