【B】きみのとなり
「だが、まだ問題が残ってる。
時任から……、あぁ、大学の同期だった女な。
氷夢華が拗ねた。
アイツから今日、外で会いたいって言われた。
時任と付き合うつもりはねぇ。
けど……親が死んだ後の辛さは知ってるからな。
一人にするのも怖い」
そう……。
「嵩継さんの気持ち、そのまま素直に伝えたらいんじゃないですか?
水谷さんも、彼女はもう大丈夫ねって嬉しそうに笑ってましたから。
だから、本当に準備が必要なのは嵩継さんだと思いますよ」
そう言うと、アイツは窓の外へと視線を向けて唇をかみしめた。
勇人もまだ問題が解決してないんだよな。
千尋との問題が……。
直後にリズ夫人が昼食を運んできて、
オレは三人で久々に時間を過ごして午後からの仕事へと戻った。
出来るだけ早く仕事を切り上げてカレーを作って氷夢華の帰りを待つ。
「何?兄貴、今日早かったの?
うわぁ、美味しそうなんだけど」
「おっ、おぉ。
ほらっ、とっとと手を洗ってこい」
そう言いながら氷夢華を迎え入れて、
お皿へとカレーライスをよそってテーブルへと置いた。
アイツはすぐにルームウエアに着替えて、
指定の座席へと着席すると、美味しそうにスプーンで食事を始める。
そんなアイツをじっと見つめるオレ。
「何?兄貴、じっと見ててもわかんないよ。
ほらっ、何か言いたいことあるんでしょ。
そんな顔してる」
スプーンを運ぶ手をとめて、氷夢華はオレの方を向き直った。
オレも覚悟を決めたように切り出す。