【B】きみのとなり
*
氷夢華へ
クリスマスイヴ、時間作るから開けといてくれ
*
兄貴からのメールの文章を、見返すように指先で辿る。
アタシのシフトは偶然休みだったけど、
兄貴のシフトは出勤だった。
出勤だったのに、急にどうして……。
そんなことを思いながらも、そうやってイベント行事を一緒に過ごそうとしてくれる兄貴の優しさが、
アタシには嬉しかった。
クリスマスイヴ、当日。
アタシは前日の仕事の後から必死に仕込んだスポンジケーキを前にして、
キッチンで生クリームを泡たてながら、格闘していた。
兄貴が帰ってきたら、一緒に食べよう。
兄貴の笑顔を思い浮かべながら、
アタシはクリスマスケーキのデコレーションを楽しんだ。