【B】きみのとなり

「って。
 けど、氷夢華。
 食ったんだろ」
「食べたわよ。
 せっかく
 兄貴が作ってくれたんだし
 勿体ないじゃん。
 けど、おかげで
 胃がびっくりしてるよ。
 だから胃薬」


兄貴の前で
手を出して催促。


ったく。

せっかくの日なのに……
朝から、
胃が暴れて大変だっての。

兄貴から奪った
胃薬を……持ってた、
珈琲で流し込もうとしたとたんに
兄貴からの拳骨が
頭上に振ってくる。


「氷夢華。
 てめぇ、何やってんだ」


瞬時に
奪われた珈琲。


「知成。
 悪いなっ。
 コイツ、今朝は珈琲無理だわ。
 これもオレが貰うから」


兄貴に首根っこ掴まれて
ずずーっと引きずられて、
水で胃薬を飲まされる。




「仕事、
 大丈夫か?」



二人きりになった途端
兄貴は……
いつものように
心配そうに
声をかけてくれる。




「大丈夫。
 胃がもたれてるだけだから。
 兄貴の牛丼が響いてさ」




さりげなく、
兄貴にチクリ。
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