【B】きみのとなり


翌朝出勤したオレの前には、すでにアイツの姿はなくて、
それ以来、今日までアイツは見つかっていない。


勇人との何かによって、意識を失ってしまった柳宮の傍で慌てふためいた千尋。

千尋も、その数日後に過労か過度なストレスが原因で倒れた。


そして倒れた千尋が回復して柳宮の病室へ向かった頃、
更なる出来事が千尋に追い打ちをかけた。


柳宮大海が、病室を脱走して姿をくらませた。
千尋のキャパが超えやがって、アイツはシフトどころじゃなくなった。



ったく、てめぇら余計な仕事増やしやがって。
益々、氷夢華に関われねぇじゃねぇか。



だけど突然の兄弟喧嘩から始まる家族問題に院長もリズ夫人も水谷さんも胸を痛め続け、
院長に恩義あるオレとしては『鷹宮の為に何かをやりたい』と言う正義感が強くなる。



アイツらの補佐は、兄貴分のオレがきっちりやってやりたい。




そう思うと必然的にオレのやるべきことは増えすぎて、
身動きがとれなくなる。




それは氷夢華のことにしてもそうだった。




マンションで氷夢華を説教したあの日から、
オレと視線を合わそうとしなければ病院ですれ違っても無視。



こっちが声をかけても無視。


昼間は仕事こそ真面目にしてるが、
夜は峠走ったり居酒屋梯子してやがるらしく自宅に電話してもアイツは出ない。


携帯も留守電。


ったく、何のための携帯だよ。



同じマンションに住んでる飛翔に話して、
セキュリティーに問い合わせて貰うと氷夢華の姿が
カメラに映ってる時間は毎夜、明け方近くになってからとの返事。



バカ野郎。
何やってんだよっ!!
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