【B】きみのとなり


「あぁ、気持ちよかった。
 なんか、肩とかも凄く楽になったんだけど。

 それに浮腫んでたの取れた気がする」

「はいはいっ。
 良かったわ、実感してもらえて。
 
 はい、親友価格で半額ね」

っと施術費用を支払うと今度は着替えた二人と一緒に女子会へと突入。



その女子会の場でアタシは、この間の一件から今日までの嵩兄とのあの女の話を愚痴り倒した。


「ね、最低でしょ。
 もう、全部、兄貴が悪いっ!!

 そう思うでしょ?」


お酒の勢いもあって、個室の中に響くアタシの声。



そんなアタシの愚痴を最後まで聞き終えた二人。


「んとに、あんたは昔から損だよね」

「そうそう。氷夢華って本気出せば、男たち放っておかないよ。
 ルックスいいし、プロポーションいいのに、どうして性格が、兄貴ラブで残念なんだろうねー」

「兄貴って言っても、実兄じゃなくて元、近所のお兄さんなんでしょ。
 今なんて親公認の同居までその人とやってるのに、どうして未だに兄貴何だか……」



そういって、華奈子と弥英はため息を吐き出す。



そうは言われても、兄貴は兄貴で……嵩兄で。




「私さ、今好きな人がいるのよ」



突然、そうやって切り出した弥英。


「そうそう、弥英、この間告白されたんだよね。
 結婚も視野に入れて付き合ってほしいってさ」

「華奈子、あの話は断ったの。 
 私が好きなのは、その人じゃないからさ。

 その人にお断りするときに、洗いざらいちゃんと話したんだ。
 そしたら、その人『そうだと思いました』って、
 私の話、受け止めてくれたの。

 その後も、いろいろとアドバイスしてもらったんだ」



そう切り出した弥英は、その時に会話した内容を順番に説明してくれた。



男心を掴む溺愛される女とはこんな女性なんだって思えた話。




1.メールは、そっけないくらいがちょうどいい。

2.電話やメールの数が減っても相手の反応が鈍い段階でどちらもしつこくしないくらいがちょうどいい。
 彼方しかいないのと積極的にしがみつくよりも、こっちから興味がなくなった素振りを見せる方が効果的。

3.誰かに対しての重い気持ちが恋だって思えるけど相手の私生活も尊重して、
 「~してくれない」じゃなくて、「~してくれて有難う」そう言える女心を育てなさい。


男って人種は、彼女が自分の行動に左右されるのを知ると、好きさ度合いが低くなる生き物だから、
自分が何を言っても動じない。自分の価値観も持ってるわよって、言い切れるようなそんな存在がポイントアップ。


っとか、まぁ、弥英と華奈子から飛び出す、男が思う理想の女像に多少の苛立ちを覚えながらも、
アタシは、一つ一つを兄貴と自分の関係に置き換えてた。



ダメじゃん。
アタシ……兄貴に呆れられるようなことしかしてないじゃん。


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