【B】きみのとなり
「ねぇ、アタシ決めた。
いい女になるっ。兄貴が放っておけないほどいい女になるから、弥英も華奈子も一緒に頑張ろうね。
女子力UPの女磨き。
ふふ~ん、名付けて小悪魔プロジェクト」
「小悪魔プロジェクト?」
「そう。
さっき、教えてくれた男の理想像って小悪魔みたいなんだもん。
ようするに、振り回される立場じゃなくて、男たちを振り回して飽きさせないようにするのが大切なんだよね」
そう。
男たちを飽きさせない、小悪魔っぽさ。
だけど……喜ばせたいと思うし、喜ばせたいと思わせること。
相手のことをちゃんと理解して、お互いが居ないとダメなんだって
しっかりと思わせないと。
「なんか、氷夢華が元気になってきたんだけど……」
「ふふっ。
さぁて、んじゃまずは……自分磨きだよねー。
明日から頑張らなきゃ」
その後も賑やかな夜は続きアタシは弥英の自宅に泊まらせてもらって、
翌日、マンションへと車を走らせた。
マンションに帰宅しても、今日も兄貴の姿はない。
兄貴が居ないからって、クヨクヨすんなっ。
ほらっ、氷夢華。
いい女になるって決めたんでしょ。
鏡に映った自分に気合を入れるように頬を両手で打つと、
出勤の準備を始めた。